私は音楽大学でピアノを専攻していました。音楽療法という言葉に初めて出会ったのはその頃で、授業で実際のセッションを先生が見せてくださいました。たしか、障がいのあるお子さんが音楽を通じて、自分以外の世界があることに気付き、回を重ねるごとに出来ることが増え、成長していく内容だったと思います。

この仕事がしたい！と決心し、働きながら専門学校へ行き、並行して精神病院で音楽療法の経験を積みました。

卒業後は、高齢者施設と障がいのあるお子さんの個人セッションをはじめ、フリーで活動を開始いたしました。

しかし、大学時代にビデオで見たようなステキなセッションは夢のまた夢で、ネタ探しに翻弄し、そもそも仕事が増えないし、悩みが尽きない日々でした。

ただそんな毎日の中、すぐには変わらなくても少しずつの変化が見えることに気付きました。今まで楽器を差し出しても拒んだ方が受け取ってくださるようになったこと、私と目も合わせなかった方が挨拶してくれるだけでなく笑顔で接してくれるようになったこと、いつも一人でいた方が音楽療法の時間を通してみんなの輪の中に入れるようになったこと。丁寧に積み重ねた時間は裏切らないことを知りました。

現在は音楽療法から仕事の場が広がり、保育園でのリトミックや、施設での演奏依頼なども定期的にいただけるようになりました。

時々「この仕事をやってて良かったことはなんですか？」と聞かれることがあるのですが、言葉が話せなくても一見反応がなくても、心で通じる瞬間を感じられる時です。

これからも、音楽を通していろいろな経験をしたり、いろいろな方と出会えることを楽しみにしています。

HPのイラストのモデルとなった、りんちゃん(左)とミミちゃん(右)です♪